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2012年10月の6件の記事

2012年10月24日 (水)

清水の井出邸をメンテナンスのために訪れました。HP作品集1087I-houseです。

すでに25年経ちました。外壁が汚れてきたので数年前塗り替えをしましたのでピカピカの新築のようです。庭の植栽は十分育って茶花が植えてあります。

茶室の腰に張った和紙はこの茶室のために藍で染めました。色はますますきれいになっています。

時間が経つと風合いが出てくる素材は結果的に長持ちするからコストパフォーマンスになります。

建てるときにお金の使い方をロングスパンで考えることの重要さを藍の和紙は教えてくれているようです。311以降静岡でも比較的大きな地震がありましたが建物はなんともありません。

25年の歳月で家族構成も変わりました。小さなメンテナンスは時に応じて行っていますが間取りの変更などのようなリフォームはしていません。基本設計のとき、将来起こる変化も考慮に入れて間取りを検討すれば経年変化のメンテナンス程度で住み続ける家ができます。

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外壁は新築そっくりさん。

耐久性のある中空セメント版を使用したため汚れの洗浄に再塗装ですみました。

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にじり口にいたる路地はすっかり緑が成長しています。

季節には茶花が咲きます。

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この茶室のために藍で染色した和紙を腰に張ってあります。

ますます色が冴えてきました。自然素材の力です。

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久しぶりのお稽古。おいしい羊羹でした。

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2012年10月15日 (月)

木構造の話しのつづきです。最近一級建築士の免許偽造問題が新聞記事になっています。

木造構造との関連でお話します。

一級建築士はほんとに木造の安全な建物の設計ができるのか?と聞かれると、あたりまでしょう!と一般の方は答えるでしょう。ところが木造の設計を日常的にしている設計者にとっては必ずしもそのようには答えられません。

日本の建築士制度では1級建築士はどのような規模の建物でも設計できることになっています、一方2級建築士はある一定の規模までしか設計できません。

通常、大学の建築学科を卒業した人は実務2年を経過すると1級建築士の受験資格ができます。そこで、大学卒業者は1級建築士試験を受験しますがこの試験の内容の製図はコンクリートの建物が課題に出されます。受験者はコンクリートの勉強をして合格します。ですから木造の勉強は試験においては通常しません。ですが、合格すれば法律的には木造建築の設計ができるのです。

たとえば、大学卒業後、大手の建設会社や大きな設計事務所に入った場合、ほとんどの設計は木造以外です。そして1級建築士試験をいきなり受けることになります。結果的に木造の勉強はまったくしていない1級建築士がとても多く居ます。そのひとが独立して友人親類の住宅を木造で設計しようとしても基本的な木造の構造がわからず、大工さんにまかせきりになってしまうことがあります。

大工さんが先のような工事をしても不適切な工事を指摘できないこともあります。

ちなみに、2級建築士の製図の試験は木造です。

実際、私の独立直前の事務所のボス(一般の人も良く知っている有名事務所)は一番小さな建物でも10臆円単位の設計でしたので木造の図面は書いたことがありませんし、書けませんでした。

まして構造のことなどまったくわからずじまい。

1級建築士にもこのような人が大勢いること、一般の人はあまり知らないようです。

先の事務所では、そんなわけで住宅は私が担当することになりボスの口出しなしで自由にやらせてもらいました。これはラッキーでした。

私は学生時代から大工さんのアルバイトをしていましたので、木造の技術は現場で覚えました。

それが幸いでした。

建築士試験も大学卒業、即2級試験を取得し、3年後に1級を取りました。

実際の設計では、一級建築士のだれでもが木造の建物の設計ができるスキルがあるわけではないのです。

ですが、よくよく考えて見れば当たり前かも知れません。お医者さんの免許はやはりひとつの医師免許と聞きます。しかし私は胃の調子が悪くても産婦人科には行きません。子どもができた女性は産婦人科を選びますが外科には行きません。お医者さんの世界ほど明確ではなくても同じ1級建築士でもできることとできない事がそれぞれあります。特に、大規模な木造建築の場合、私たち意匠設計者は構造設計者とパートナーを組むのですが、RCや鉄骨だけを設計している構造設計者ではできない人のほうが多いという現状があります。

一級建築士は、どのような大きさの建物の設計をしても良いというのが建築法規で保障されていますが、どのような建物でも設計できる能力がある、ということにはなりません。

建築士免許証です、今は運転免許証のような顔写真入りの小さなものになっています。

位置下の終了証は設計事務所には事務所を管理する建築士が必要です。講習を受けて終了証をもらわなければなりません。

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2012年10月10日 (水)

前回は耐震の話しを少ししましたので、続きです。

よく 「家(うち)は大丈夫ですか?」とか「あと何年持ちますか」とか聞かれます。

一般の方々の質問の仕方としてごく普通の聞き方ですが、答える方はそうはいかない悩ましい質問です。

普通、建築基準法の耐震度1.0を守っていれば大丈夫とも言われます。しかしこの基準ははたして何に対して大丈夫なのでしょうか?

一般的に建築基準法1.0を守っていれば震度5台では建物は崩壊しないとされています、しかし崩壊しないからといって建物がそのままその後も使えるか?というと必ずしもそうではありません。震度5強でかつ軟弱地盤のところに建っている建物は修復困難なほど壊れる可能性があります。地盤が通常に強固なところに建っている建物でも修復に費用が掛かるほど壊れることがあります。構造的なダメージは少なくても壁が剥がれたり、ひび割れが入ったりです。見た目に貧相な状態になるかもしれません。

これを大丈夫という言葉では言い表せないでしょう。

また、まれに発生する震度6以上の地震においては、建物は壊れるが人命が失われなるような、圧死のようにはならない強度がひとつの判断となっています。この場合建物は大丈夫ではないけれど人命は大丈夫ということになります。

ですから、大丈夫の基準は建物なのか?人命なのか?が重要です。

なので、建築基準法を守っていたからといって建物に損傷がないとはいえないのです。

また、あと何年持ちますか?との答えは「わかりません」が正確な答えに近いでしょう。なぜなら明日、大地震が来るかも知れません、1000年後かも知れません。

今の技術では地震予知は震度も含め、日時まで言い当てることができないからです。

構造強度は建築基準法を最低基準として、どの程度強度を強くするか?木造の構造を良く知っている設計者と一緒に決めることです。

ちなみに私どもの事務所は建て主さんから特段の申し出がない場合、建築基準法の1.25倍を最低基準とし、構造計算に入れない強度補充をして1.5倍以上の強度を持たせることを標準設計としています。

これなら、3・11ほどの地震でも構造的な破壊はないでしょうし、ひびわれしない仕上げ材を選べば修復もほとんどなしにできます

何年持ちますか?との質問にちょっとつけくわえると、木造の建物はメンテナンスをしていけば半永久的に持ちますというのがお答えです。

私どもが耐震補強した実例はHPの作品集2010年アラナ精舎 築130年 2009年町田K-house 築35年があります。両方ともほぼスケルトンか耐震改修工事です。ご覧ください!

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2012年10月 8日 (月)

過日、友人から耐震相談を受けました。相談の内容は知人がリフォーム工事をやったのだが柱を取ったので構造的に心配、どの程度の耐震性があるのか見てほしいということでした。

写真と図面を送ってもらい、見ましたところかなり問題点があることがわかりました。

もともとの建物の1階は、筋違いの量が建築基準法のギリギリの上

一部変更によって筋違いが不足しているようでした。さらに今回のリフォームでは柱を取った後の補強が不十分でした。

柱と梁は引き寄せ金物でつながないと地震で揺れた場合、ずれてしまうことがあります。どの程度の金物でつなぐか、ということは建築基準法で決まっています。ところが写真を見ると強度が一番弱いとされている「かすがい」という金物で止めているだけでした。これでは大きな地震が来た時外れる可能性があります。そこで再度仕上げを外してやりなおすか?仕上げの上から補強工事をするのか建て主さんと相談しました。仕上げからやり直すならばリフォームを再度やり直すことと同じになってしまいます。Photo

かすがいだけで止めてある梁と柱、大きなゆれで外れそうです。

そのため仕上げの上から補強することにしました。

建て主さんは大工さんに頼んでいましたので当初は信頼していましたが311以降急に不安になって私の友人に相談してきました。通常一般の方は木造の建物では大工さん・工務店に相談します。十分な構造的な知識を持った人であれば良いのですが、残念なことに大工さんの持っている構造的な知識では今の構造基準に合わないものが多々あります。その上工事がやりにくい場合、どうしてもやりやすい方法を選んでしまう傾向があります。今回の現場はまさしくそのような現場でした。幸いにも建て主さんは、うすうすそのことに気がついていたため結果についても想定していましたので大きな問題にはなりませんでした。

小さな手直しでも構造に関しての相談は木造をよく知っている設計者に相談することをお勧めします。

なお、この工事、仕上げを外して正式な補強をする場合、相当な金額になってしまうことは想像できます。補強方法の確認や立会いだけでも木造の知識がある設計者に頼んだほうがより安心で安全かつコストパフォーマンスになったのは言うまでもありません。

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専用の補強金物を造って、強度のある専用ボルトで止めました。

完璧ではありませんが、だいぶ安心です。施工時間は1時間程度。

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2012年10月 4日 (木)

住宅です。竣工1年目の点検に行ってきました。フリーのお坊さんの家です。もともとはあるお寺の住職さんでしたがご自分の修行のために後輩にお寺を譲って自由に修行活動できる立場にしてしまいました。

庭に住宅とは思えないほどいろいろなものが並んでいました。

ご自分でコツコツと庭つくりしています。また半年後が楽しみです。

建物はなんの問題もありませんでしたが本棚を追加して造りたいと要望が出ました。勉強家です。

即座にスケッチ、OKをもらう。

梨ももらってきました!秋です。

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仏間の内部は住宅???

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庭も住宅??????

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正面もちょっと普通の住宅??

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2012年10月 1日 (月)

新築引越しご竣工半年たってそろそろ秋の気配を感じて来た10日ほど前、仕上げ材の多くに自然素材を使った住宅の、初めての夏を過ごした様子を聞きに出かけた。

床は無垢フローリング、壁は木や珪藻土の壁仕上げ。土間は墨モルタルに施主製作のタイル。

暑い夏を、1階はほとんどクーラー無しで過ごせたとお聞きした。

夏に弱いうさぎは毎年暑さでバテバテだが今年は土間で元気だった。

調湿機能や断熱性能を持った自然素材が力を発揮している。

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土間玄関で元気なうさぎ君

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みどりも大きくなりました。もうじき栗が取れます。

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